布施琳太郎、布施琳太郎′|
FUSE Rintaro, FUSE Rintaro′
山崎裕貴、山崎裕貴′|
YAMAZAKI Yuki, YAMAZAKI Yuki′
2021/1/27 (wed.) - 2/21 (sun.)
13:00-19:00
Close: every mon., 2/9 and 2/16
※緊急事態宣言を受けて、オープニングトーク及び、
Plot講義を延期または中止の方向で検討しております。
詳細は決定次第お知らせ致します。
オープニングトーク|Opening talk
1/27 (wed.)
Start/ 19:00-20:00(open/18:30)
- 参加費:無料
Plot講義
「ゲニウス・アート・インターネット」
1/27 (wed.)
Start/ 20:15 - 21:45
- 参加費:
2,000円
- 講師名:
布施琳太郎、布施琳太郎′、山崎裕貴、山崎裕貴′
- ご予約:
http://ptix.at/OkcisV
※人数制限があるため、必ずチケットを事前予約お願いいたします。
- 運営:
Plotは、作品制作・美術批評などの発信およびアートスクール(2021年4月スタート)の運営を行っています。
http://plot.photo/
DMデザイン | Design by Takeshita So (Plot)
布施琳太郎/布施琳太郎′/山崎裕貴/山崎裕貴′による現代美術の展覧会。新進気鋭の若手作家2(4)人が、孤独な芸術家やアーティスト・コレクティブではない、誰のものにもすることのできない連帯としての「わたしたち」を形づくる。現代の全く新しい工学的設計思想と、古代ローマより信仰される神が接触する本展は、同時期に京都市京セラ美術館で開催される「平成美術:うたかたと瓦礫デブリ 1989–2019」への応答でもある。会期中にはトークイベントや芸術スクール「Plot」の講義を開催。
この展覧会は「ヘテロゲニウス・マルチコア」(Heterogenius Multi-core)という造語をタイトルに掲げる。それは現代のシステム工学における用語「ヘテロジニアス・マルチコア」(Heterogeneous Multi-core)と、古代ローマにおいて信仰された神「ゲニウス」(genius)の名前に根ざしている。ヘテロジニアスとゲニウスは同一の語根「gen」(生む/種族)から派生した言葉である。
まずヘテロジニアス・マルチコアとは、コンピュータの脳である集積回路が、「それぞれ異なるアーキテクチャ」(=Heterogeneous)に基づいた「複数のコア」(=Multi-core)によって構成されていることを意味する。それは昨年末に発売されたアップル社製のコンピュータに搭載されたM1チップや、近年のゲーム機、スマートフォンなどに採用されてきた。反対に、同一のアーキテクチャによって構成された集積回路はホモジニアス・マルチコアと呼ばれるが、2000年代中盤には期待された成長を叶えられなくなった。ヘテロジニアス・マルチコアが実現するのは、特定の用途に最適化された複数のコアの組み合わせによるコンピュータの高性能化や、消費電力の最適化などである。
一方、古代ローマにおけるゲニウスが意味するのは「個人のなかにある非個人的なものすべて」を司る神だ。それはわたしたちそれぞれ一人ひとりと共生する神として信仰された。もしゲニウスがいなければ、わたしたちは恋に落ちることも、微睡からふと我に帰ることもない。言葉にならない衝動や根拠のない自信のように「わたし」を越えてひとり歩きしていく「非人称なわたし」こそがゲニウスとして信仰されてきた。
人間の生命原理は「ゲニウスとわたし」という異なるアーキテクチャに引き裂かれたヘテロジニアス・マルチコアである。
本展は、それぞれの「わたし」に固有の神であるゲニウスを、工学的なアーキテクチャと接触させる。それはゲニウスが、他者のゲニウスとのヘテロジニアスな関係においてしか成立しないという前提を露わにするだろう。ひとはホモジニアスな主体でも、ヘテロジニアスな集団でもいられない。ここで意図されているのは、孤独な芸術家やアーティスト・コレクティブではない、誰のものにもすることのできないヘテロゲニウスな連帯としての「わたしたち」を形づくることだ。
喜び(genialis)のなかで、ひとり、共にあるために。
表紙 / wikipedia アントニヌス・ピウスのゲニウス / File:Antonius Pius Column Base.JPG / CC 表示-継承 3.0
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/84/Antonius_Pius_Column_Base.JPG
アーティスト。1994年生まれ。iPhoneの発売以降の都市において可能な「新しい孤独」を、情報技術や文学、そして洞窟壁画へのリサーチに基づいた作品制作、展覧会企画、テキストの執筆などを通じて模索、発表している。主な展覧会企画に「隔離式濃厚接触室」(ウェブページ、2020)など多数。
1994年9月6日に東京大学医学部附属病院で生まれる。現在26歳、身長175cm、体重61kg、学生、バイトは予備校講師、絵を売ったり、テキストを書いて原稿料をもらったりもする、軽度の乱視、好きな飲み物はモンスターエナジーと砂糖食塩不使用の野菜ジュース、人の目を見て話すのが苦手。
美術家/批評家。1993年、静岡に生まれる。現在は京都を拠点とする。
神学の歴史や哲学、情報技術から前衛芸術などの幅広い考察に基づいて制作や執筆、講義活動を行う。主な展覧会に『New Order』(2017/Media Shop Gallery /Kyoto)など。芸術スクール「Plot」主催、Contemporary art gallery One Four 所属。